目を開けてもそこは闇。
真っ暗で、何も見えなくて。
じゃあと手を延べれば、
堅くて頑丈な壁にぶつかる。
精悍な匂いと、
どこまでも落ち着ける温もりとにくるまれていて。
それで、ああそうかと思い出す。
堅いと言っても決してこの自分を傷つけぬ、
頼もしくて安らげる懐ろと。
堅い二の腕、厚い肩。
耳を澄ませば、規則正しい寝息も聞こえて、
いつもの寝間の、いつもの腕の中だと判る。
秋も深まり、もはや虫の音も聞こえず。
どこか遠くで、
冷たい風が囁き合ってるよな、
重々しい唸りが聞こえているだけで。
何も見えない、
でも怖くはない。
何も話しちゃくれないけれど、
此処にいるの、判っているから。
こんな頼もしい闇はないと、
深々と安堵の息ついてから。
堅やわらかい胸元へ、
埋まり直してもう一眠り。
ほら、欲張りな腕が
向こうからも引き寄せる。
しょうがないなぁ、
お前からも見えてねぇんだな。
目も眩むような至福の闇は、
誰にも見つからないようにという、
特別な暗幕かもしれない。
……などと、柄にもないこと言ってないで、
肩とか冷やさずとっとと寝なさい。
〜Fine〜 09.11.14.
*間が空いたのに
“なぁ〜んやこれ”な お話ですいません。
何だかんだ言いつつ、
葉柱さんが好き好きなおやかま様が書きたかったのvv
ほぼ一カ月前にはまだまだ昼は暑いとか書いてましたが、
さすがに十一月で、何とか秋めいて来ましたね。
早いなぁ、一年経つの。
めーるふぉーむvv 

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